宿泊者名簿は、毎日のチェックインで、きちんと書いてもらっている。そこまでは、多くの施設でできています。では、その名簿は、いまどこにありますか。3年前の名簿を、いますぐ取り出せますか。
名簿は、書いてもらって終わりではありません。決められた期間、保存しておき、必要なときに出せる状態にしておくことまでが、営業者の義務として求められます。そして、保存の部分は、日々の忙しさの中で、後回しになりやすい部分です。
この記事では、宿泊者名簿の保存について、紙やExcelでの管理で起きやすい問題を整理し、保存から出力までを仕組みにする考え方を解説します。なお、筆者は法律の専門家ではありません。法令に関する部分は、公開されている情報の範囲での整理ですので、最終的な判断は管轄の保健所にご確認ください。
名簿は「書く」だけでなく、「保存して、出せる」ことまでが義務
名簿の備付けと、提出
旅館業法第6条では、営業者は宿泊者名簿を備え、宿泊者の氏名や住所などを記載することが定められています。そして、都道府県知事の要求があったときには、これを提出しなければならないとされています。
つまり、名簿は、ただ持っているだけでは足りません。求められたときに、すぐに出せる状態になっている必要があります。
保存期間は、宿泊しなくなった日から3年
保存の期間は、宿泊者が宿泊しなくなった日から3年間とされています。ここで大切なのは、3年の起点です。名簿を作成した日ではなく、宿泊者が宿泊しなくなった日から数えます。
また、保存の方法は、紙でも、電子データでも認められています。どちらの方法でも構いませんが、どちらを選ぶにしても、3年間、きちんと管理し続ける責任があります。
記載する項目
名簿に記載する項目は、自治体の案内によれば、氏名、住所、連絡先が基本です。日本国内に住所を持たない外国人のお客さまの場合は、国籍と旅券番号も記載します。管轄の保健所によっては、様式や追加項目が示されている場合もありますので、確認しておくと安心です。
紙の名簿で、起きやすいこと
量が増え続け、保管場所が足りなくなる
紙の名簿は、毎日増えていきます。3年分となると、かなりの量になります。保管するスペースが必要になり、その管理も、誰かの仕事になります。
探すのに時間がかかる
特定の日の宿泊者を探したいとき、紙の名簿では、その日付のファイルを探して、ページをめくる必要があります。日付ごとに整理されていればまだ良いのですが、整理が曖昧だと、探すだけで時間がかかります。
紛失や劣化のリスクがある
紙は、時間とともに劣化します。水濡れや、火災などで失われるおそれもあります。そして、紛失した場合、個人情報が外部に出てしまう可能性があります。
書き方がまちまち
お客さまが手書きで記入する場合、文字が読みにくかったり、項目が抜けたりすることがあります。3年後に読み返したとき、判読できない記載があれば、名簿としての価値が下がります。
Excelの名簿で、起きやすいこと
紙よりも整理しやすいのが、Excelなどの表計算ソフトでの管理です。けれど、Excelにも、固有の落とし穴があります。
ファイルが担当者ごとに分かれる
担当者ごとに別々のファイルで管理していると、全体の名簿がどこにあるのか、分からなくなります。特定の日の宿泊者を探すとき、複数のファイルを開いて確認することになります。
最新の版が分からなくなる
ファイルをコピーして使い回していると、どれが最新なのかが分からなくなります。修正したはずの内容が、別の版には反映されていない。こうした状況は、名簿としての正確さを損ないます。
誰でも見られる状態になりやすい
共有フォルダに置いてある名簿は、フォルダにアクセスできる人なら、誰でも開けてしまいます。名簿には、氏名、住所、連絡先、場合によっては旅券番号といった個人情報が含まれます。見られる範囲を絞らないと、情報漏えいのリスクが高まります。
記載のゆれで、検索しにくくなる
住所の書き方や、氏名の表記が統一されていないと、検索したときに目的の宿泊者が見つかりません。「全角か半角か」「姓と名の間のスペース」のような、細かな違いが、検索の邪魔をします。
保存期間の管理で、見落としやすいこと
「年度で区切って処分する」は、期間が足りなくなることがある
名簿を、年度や年ごとにまとめて保管している施設もあります。この場合、処分のタイミングを、年のまとまりで決めてしまうと、3年に満たない名簿まで処分してしまうおそれがあります。保存期間は、宿泊しなくなった日からの3年です。月日の細かな起点を意識せずに整理すると、期間が足りなくなる可能性があります。
保存期間が過ぎた名簿の扱いも、決めておく
保存期間を過ぎたあとの名簿を、どうするか。この扱いも、あらかじめ決めておきたい部分です。個人情報を含むものですから、不要になったときに、どのように処分するかも、運用に含める必要があります。
名簿の「記載ミス」を、あとから直せるか
名簿は、一度書いたら終わりではありません。あとから、誤記に気づくことがあります。住所の番地を間違えていた、連絡先の電話番号が1桁違っていた、といった場合です。
紙の名簿に書かれた内容を修正するには、二重線を引いて訂正するなど、記録の残し方に気を使う必要があります。Excelの場合は、上書きしてしまうと、元の記載が分からなくなります。
修正が必要になったとき、誰が、いつ、どこを直したのかを分かるようにしておくことは、名簿の信頼性を保つうえで大切な運用です。仕組みを選ぶときは、修正ができるかどうかとあわせて、修正のルールも決めておくと、後から困りません。
担当者が変わっても、管理が続くか
名簿の管理が、特定の担当者のやり方に依存していないかも、見直したい点です。紙の保管場所を知っているのは誰か。Excelのファイルの置き場所と命名のルールを知っているのは誰か。その人が休んだり、退職したりしたとき、他の人が同じ手順で、名簿を探して出せるでしょうか。
3年という保存期間は、担当者の入れ替わりを十分に超える長さです。担当者が代わっても、同じように管理が続く仕組みでなければ、期間の途中で管理が途切れてしまいます。保存の仕組みは、人に依存しない形で作ることが大切です。
保健所から求められたとき、すぐに出せるか
名簿は、都道府県知事の要求があったときに、提出する必要があります。その際、慌てずに対応できるかどうかが、日頃の管理の結果として表れます。
紙の名簿を、倉庫から探し出す。Excelのファイルを、複数開いて確認する。こうした作業に時間がかかっていると、求められたときに、すぐに出せません。必要な日付の名簿を、すぐに検索して、印刷や出力ができる。この状態が、備えとして理想的です。
名簿の保管を仕組み化する、3つの条件
では、どのような形が望ましいのでしょうか。条件は、次の3つです。
- 一か所に集まっていること。 担当者ごと、日付ごとに分散せず、すべての名簿が同じ場所にある。
- 探せて、出せること。 日付や氏名で検索でき、必要な形で出力や印刷ができる。
- 見られる人が限られていること。 個人情報を扱うため、見られる範囲を絞れる。
この3つが揃えば、3年間の保存と、求められたときの提出が、無理なく両立できます。
予約管理ダッシュボードの宿泊者名簿
私たちAKSの予約管理ダッシュボードの宿泊者名簿は、この3つの条件を満たす形で作られています。
お客さまが入力した内容は、自動で蓄積されます。紙の名簿のように、回収して、整理して、保管する作業はありません。入力内容の修正もでき、スタッフが代わりに入力することもできます。
名簿は、CSVで保存することも、印刷することもできます。保健所から求められたときに、必要な形で出力できます。3年間の保存にも対応しています。
個人情報の保護にも配慮しています。旅券番号は、一覧画面では伏せ字で表示されます。ログインにはIDとパスワードが必要で、通信は暗号化されています。データは施設ごとに分けて管理されます。
なお、保存期間が過ぎたあとの名簿の扱いについては、施設ごとの運用を決めておく必要があります。仕組みを使う場合でも、名簿を見られる人を限る、不要になった情報の扱いを決める、といった運用上の取り決めは、あわせて整えておくことをおすすめします。
今のサイトコントローラーはそのままで
ダッシュボードは、サイトコントローラーや予約サイトの設定を変えずに使えます。予約データをファイルで取り込む方式で、PMSを入れる必要もありません。
なお、現在対応しているサイトコントローラーは「ねっぱん!」です(2026年9月時点の製品ページの記載)。他のサイトコントローラーをお使いの場合は、対応の可否をお問い合わせください。
名簿の保存と管理を棚卸しするチェックリスト
今の運用が、次の点を満たしているか確認してみてください。
- 名簿を、宿泊しなくなった日から3年間、保存できているか
- すべての名簿が、一か所にまとまっているか
- 特定の日の宿泊者を、すぐに探して出力できるか
- 名簿の記載内容が、読み取れる状態で残っているか
- 紙やファイルの名簿を、見られる人が限られているか
- 保存期間を過ぎた名簿の扱いが、決まっているか
- 保健所から求められたとき、すぐに提出できる準備があるか
- 外国のお客さまの、国籍と旅券番号の記載が揃っているか
答えに迷う項目が3つ以上ある場合は、名簿の保管の仕組みを見直す時期かもしれません。
まとめ
宿泊者名簿は、書いてもらうだけでなく、宿泊しなくなった日から3年間保存し、求められたときに出せる状態にしておく必要があります。紙は量と探しにくさが、Excelは分散と共有の問題が、それぞれ課題になります。
名簿を一か所に集め、探せて、出せて、見られる人を絞れる形にする。この3つが揃えば、保存の負担も、提出時の不安も、大きく減ります。サイトコントローラーが整えるのは予約の連携で、名簿の保管は別の仕組みで補う必要があります。今のシステムを変える必要はありません。
宿泊者名簿の保管と管理に不安がある施設さまへ
株式会社AKSは、宿泊施設の現場業務を効率化する「予約管理ダッシュボード」を提供しています。今お使いの予約サイトやサイトコントローラーはそのまま、現場の作業だけを楽にする仕組みです。
機能の詳細は予約管理ダッシュボードのページでご確認いただけます。初期導入5万円(税抜)・月額9,800円(税抜)から始められ、AKSホテルサポート契約中の施設さまは月額無料です。宿泊者名簿の入力ページを公開する設定は、オプション(初回のみ2万円・税抜)となります。
「今の名簿の保管方法が、仕組みに置き換えられるのか知りたい」という段階でも構いません。現状の運用をお聞きしたうえで、無理のない範囲からご提案します。


