宿泊税・入湯税・リゾートフィーの仕組みを旅行者目線で解説
ホテルを予約して、いざチェックアウトの時―
「え?思ったより高い…」
そんな経験はありませんか?
その“差額”の正体は、宿泊税・入湯税・リゾートフィーなどの追加料金です。
宿泊料金とは別に課されるこれらの費用は、
自治体・温泉法・ホテルの運営ルールによって定められており、
支払い義務が発生する「法定税・施設利用料」なのです。
この記事では、
旅行者が混乱しやすい「宿泊税」「入湯税」「リゾートフィー」の仕組みを、
“なぜ取られるのか・いつ払うのか・どこで課税されるのか”という視点からわかりやすく解説します。
宿泊税・入湯税・リゾートフィーの基本構造
まずは、3つの費用の位置づけを整理しましょう。
| 名称 | 根拠 | 課税主体 | 支払先 | 主な導入地域・施設 |
|---|---|---|---|---|
| 宿泊税 | 地方税法 | 自治体 | ホテル・旅館を通して納付 | 東京都、大阪府、京都市、金沢市など |
| 入湯税 | 温泉法 | 市町村 | 温泉宿泊施設を通して納付 | 全国の温泉地 |
| リゾートフィー | ホテル独自設定 | 宿泊施設 | 宿泊料金に上乗せ | 主に海外・高級リゾートホテル |
つまり、
宿泊税と入湯税は法的に義務づけられた公的税金、
リゾートフィーは施設独自の利用料です。
1. 宿泊税とは?「都市観光のための税」
概要
宿泊税は、ホテルや旅館などに宿泊する旅行者が支払う地方税の一種です。
徴収した税金は、観光振興・文化保全・都市整備などに使われます。
「観光で訪れる人が、その都市の維持・整備に貢献する」という考え方が背景にあります。
課税対象
- ホテル、旅館、民宿、ゲストハウスなど
- 1人1泊あたりの宿泊料金に応じて課税
宿泊税は、宿泊施設が宿泊者から徴収し、自治体に納付します。
旅行者はチェックアウト時に支払うのが一般的です。
東京都の例
| 宿泊料金(1人1泊) | 宿泊税額 |
|---|---|
| 10,000円未満 | 課税なし |
| 10,000〜14,999円 | 100円 |
| 15,000円以上 | 200円 |
つまり、
2名1室で15,000円(1人7,500円)の場合は課税なし、
1人利用で15,000円なら200円課税、という仕組みです。
大阪府の例
| 宿泊料金(1人1泊) | 宿泊税額 |
|---|---|
| 7,000〜14,999円 | 100円 |
| 15,000〜19,999円 | 200円 |
| 20,000円以上 | 300円 |
大阪ではより細かく設定されています。
他にも京都市、金沢市、福岡市、札幌市などが導入済みです。
宿泊税の特徴
- 国内旅行者・外国人旅行者ともに対象
- 宿泊代金の一部ではなく税金扱い(領収書上も別明記)
- 旅行会社やOTA経由でも、現地払い時に追加請求される
ポイント
→ 予約サイトの「総額表示」に宿泊税が含まれていないことが多い。
2. 入湯税とは?「温泉地の維持・環境保全のための税」
概要
入湯税は、温泉利用者(宿泊・日帰り問わず)に課される地方税で、
温泉施設の整備・保全・消防・観光振興などに使われます。
課税対象
- 温泉法に基づく「温泉利用施設」
- 宿泊客・日帰り客ともに対象
一般的な税額(全国平均)
- 1人1泊につき150円(全国共通ではない)
- 市町村により100〜250円の範囲で異なる
例:
- 草津温泉(群馬県)→ 150円
- 登別温泉(北海道)→ 300円(高級宿のみ)
- 別府温泉(大分県)→ 250円
支払い方法
チェックアウト時、宿泊税と同様にホテル・旅館で現地支払い。
クレジットカード・現金いずれも可。
注意点
- 入湯税は温泉の利用目的に課されるため、
「温泉に入らなくても」宿泊すれば原則課税対象。 - 小学生以下は非課税の場合が多い。
3. リゾートフィーとは?「施設利用料」という考え方
概要
リゾートフィー(Resort Fee)は、
宿泊税・入湯税と異なりホテルが独自に設定する“サービス料”です。
もともとはハワイ・ラスベガスなど海外リゾートホテルで導入され、
宿泊費とは別に課される“施設利用料”として定着しました。
含まれるサービス例
- プール・ジム・スパ利用
- ビーチチェア・パラソル貸出
- Wi-Fi・朝刊・ウェルカムドリンク
- アメニティ・アクティビティ利用料
つまり、「滞在中の共用施設利用費」を一律で徴収する仕組みです。
金額の目安(2025年時点)
- 海外リゾート(ハワイ・グアム・ラスベガスなど):1泊25〜60USD
- 日本の一部高級ホテル(沖縄・軽井沢など):1泊1,000〜3,000円
注意:
→ 予約時の料金に含まれていない場合があり、現地で請求されるケースが多い。
リゾートフィー導入ホテルの一例(国内)
- ハレクラニ沖縄(リゾートチャージ制)
- ANAインターコンチネンタル万座ビーチリゾート
- 星野リゾート一部施設(サービス料型)
なぜ“宿泊費に含めない”のか?
宿泊税と入湯税が“税金”であるのに対し、
リゾートフィーはホテルの収益。
宿泊料金を抑えて見せるマーケティング上の理由から、
別項目として設定されることが多いのです。
よくある質問:
「予約サイトの金額と支払い額が違うのはなぜ?」
予約サイト(特に海外OTA)では、
宿泊税・リゾートフィーが“非課税価格”として表示されている場合があります。
例:
料金表示:¥20,000(税込)
実際の支払い:¥20,000+宿泊税200円+入湯税150円=¥20,350
つまり、
現地支払い時に追加される税金・手数料を見落としているケースがほとんどです。
旅行者が「損をしない」ためのチェックポイント
- 予約前に「税・サービス料込み」か確認
→ OTAでは「税込・サービス料込」の表記を必ずチェック。
→ “Tax not included”は要注意。 - 領収書を分けて確認
→ 宿泊費/宿泊税/入湯税/リゾートフィーが別記されているか確認。 - 旅行サイトの支払い総額を比較
→ 海外OTAは税別表示、日本OTAは税込表示が基本。 - 入湯税は1人単位・現地払いが基本
→ 複数人宿泊時は「人数分×泊数」で加算。 - リゾートフィー付きホテルでは“何に使われるか”を事前確認
→ 「プール・スパ・Wi-Fi無料利用」と書かれていれば納得感あり。
出張・経費精算で注意すべきポイント
ビジネス利用の場合、宿泊税や入湯税は「経費」に計上できます。
- 領収書上に「宿泊税」「入湯税」明記があることが条件
- リゾートフィーはサービス料扱い(課税対象)
会計上の処理例:
宿泊料金 10,000円
宿泊税 200円
入湯税 150円
合計支払額 10,350円
→ 全額を「旅費交通費」として経費処理可(源泉税なし)
海外旅行では“税+サービス料”がさらに複雑!
海外では、日本以上に多層的な税金構造になっています。
| 国・地域 | 税種別 | 内容 |
|---|---|---|
| アメリカ(ハワイ) | Accommodation Tax(宿泊税)+Resort Fee | 宿泊費の14〜17%+施設料 |
| フランス | City Tax(宿泊税) | 都市観光目的税(€0.5〜€5) |
| イタリア | Tourist Tax | 市ごとに設定(1〜7ユーロ) |
| シンガポール | Service Tax | 宿泊料金の10%前後 |
ポイント:
→ OTAで“税別”表示のまま予約すると、チェックアウト時に追加請求される。
旅行者にとっての実質負担感
調査によると、国内旅行者の約68%が
「宿泊税・入湯税などの追加費用に納得している」と回答(観光庁2024調査)。
一方で、
「事前に説明がなかった」「金額が曖昧」との声も依然多い。
その差を生むのは、“情報の透明性”です。
旅行者側が理解していれば、支払いに納得感が生まれます。
今後のトレンド:環境税・観光負荷軽減への拡大
近年は宿泊税の枠を超え、
「サステナブル観光」目的の税制も広がっています。
例:
- 京都市:宿泊税の一部を観光混雑対策へ
- 沖縄県:観光環境協力税(検討中)
- 北海道:自然保護目的の宿泊課税検討
今後、「宿泊税=観光地の保全コスト」という認識が
より一般化していくと考えられます。
まとめ:
“追加料金”は不親切ではなく、「地域と旅をつなぐ費用」
宿泊税・入湯税・リゾートフィー――
一見わかりにくいこれらの費用は、
「観光地を守る」「施設を維持する」「旅を豊かにする」ためのコストです。
- 宿泊税 → 都市の観光・文化保全のため
- 入湯税 → 温泉地の環境・防災維持のため
- リゾートフィー → ホテルの共用施設維持・サービス拡充のため
つまり、
これらは“追加料金”ではなく“旅のインフラ維持費”。
旅行者としての正しい理解と、
宿泊施設としての透明な説明が両立すれば、
「税=納得の対価」へと変わります。
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