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OTA依存から脱出!宿泊施設が「自社予約」を伸ばすための実践ロードマップ

「OTAの手数料が高すぎる」
「自社サイトからの予約をもっと増やしたい」
「リピーターを直接囲い込みたい」

そんな課題を抱えているホテル・旅館経営者は少なくありません。

OTA(Online Travel Agency)は強力な販売チャネルですが、依存しすぎると利益が圧迫され、顧客との関係構築のチャンスも失われます。


今こそ、“OTA中心”から“自社予約中心”への転換が必要です。

この記事では、2025年の宿泊市場トレンドを踏まえた、「自社予約比率を高める7つの戦略」を具体的に解説します。

なぜ「OTA頼み」の運営から抜け出す必要があるのか

OTAは集客力が高く便利な存在ですが、以下のようなデメリットがあります:

課題内容
高額な手数料OTA手数料は8〜25%、オプション利用で30%に達する場合も。
顧客データが取得できないメール・嗜好情報が制限され、再来促進が難しい。
価格設定の自由度が低い最低価格保証により、自社サイトでの価格コントロールが困難。
ブランドが埋もれる他施設と横並び表示され、独自性を訴求しにくい。

コロナ禍を経た今、旅行者の行動は変化しています。


「施設と直接つながりたい」「その宿ならではの体験をしたい」というニーズが高まり、“直接予約”を選ぶ旅行者が増加しています。

つまり、今がまさに自社予約強化のチャンスです。

自社サイト予約が生む3つの収益効果

① 手数料を削減し利益率を底上げ

自社サイト経由なら決済手数料を含めても数%で済み、OTAより10%以上利益が増加します。
年間売上1億円の施設が自社予約比率を30%増やせば、約300万円の純利益アップも現実的です。

② 顧客データを自社資産に変える

自社予約では、顧客の趣味・滞在目的・メール情報などを蓄積可能。
これにより、「再訪を促すメール」「誕生日特典」「地域連動キャンペーン」など、高精度のマーケティング施策が実現します。

③ ブランド価値を高める“公式ストーリーテリング”

OTAでは伝えきれない「施設の物語」や「地域とのつながり」を自社サイトで表現することで、ファン顧客が生まれます。
“この宿で過ごしたい”と感じさせるブランディングが、長期的な差別化を生みます。

ステップ①:思わずクリックしたくなるプラン名・商品設計

顧客の心を動かすのは、ほんの数秒。
プラン名と内容設計が、自社予約率を左右します。

効果的なネーミング例

  • 「朝食付き」→「地元の旬を味わう“漁師直送”朝ごはんプラン」
  • 「スタンダードプラン」→「【HP限定】3つの特典付き・オーシャンビュー確約プラン」
  • 「女子旅プラン」→「色浴衣×スイーツで過ごす女子旅フォトステイ」

🔹 ポイント

  • 体験価値を言語化する
  • 数字・期間・ターゲットを明確に
  • 限定性を打ち出す

ステップ②:価格競争に負けない“実質お得感”の作り方

自社サイト限定価格を設定する際は、単に安くするのではなく「特典で上回る」戦略を取りましょう。

販売経路表示価格特典実質的な価値
OTA22,000円なし22,000円
自社サイト(一般)22,000円ドリンク2杯+アメニティ約21,000円相当
自社サイト(会員)20,900円会員割引5%+特典約19,900円相当

💡 コツ:

  • OTAと同額で特典を追加(最低価格保証を回避)
  • 会員登録で非公開価格を設定
  • 早割・複数泊割を自社限定にする

ステップ③:季節ごとの限定プランで“リピートを誘発”

通年稼働を安定させる鍵は、「季節」と「地域イベント」の活用です。

季節プラン例企画のポイント
桜ピクニック&朝食バスケット付き地元の季節体験と連動
ビーチグッズ貸出&BBQプランファミリー・若年層に訴求
紅葉トレッキングマップ付き地域特産とのコラボ
温泉×ホットワインプラン滞在体験を強化

SNSで拡散される写真映え演出も効果的。
「旅の記憶をシェアしたくなる体験」を提供しましょう。

ステップ④:ここでしか得られない“特典”で差別化

「コストは抑え、体験価値は高く」——これが成功する特典設計の鉄則です。

コスト帯ポイント
低(〜¥500)ウェルカムドリンク、地元コスメサンプル地産要素でオリジナリティ
中(〜¥1,000)貸切風呂優先予約、地元特産お土産コスト0円でも高満足度
高(〜¥2,000)シェフ特製スイーツ、記念日装飾SNSでの拡散効果あり

📸 SNS映えを意識したビジュアル特典は、広告効果も兼ねます。

ステップ⑤:リピートを生む“ロイヤル会員制度”

一度の宿泊を“次回予約”につなげるために、会員制度を導入しましょう。

会員制度の設計ポイント

  • 登録はメールアドレスだけで完結
  • 登録直後に割引クーポンを発行
  • 利用回数でステータスアップ
  • 会員限定プラン・非公開価格を設定

さらに、「滞在後メール」や「季節の案内DM」で関係を継続することが重要です。

ステップ⑥:予約サイトのUXを徹底改善

いくらプランが良くても、サイトが使いづらければ予約は完了しません。

改善のチェックリスト:

  • ページ表示速度を2秒以内に
  • モバイルファースト設計
  • カレンダー表示で空室を可視化
  • 比較しやすいプラン一覧
  • 安心感を与える口コミ・セキュリティ表示
  • Googleビジネスプロフィールに「予約ボタン」を設置

🔍 Googleマップ経由の予約(MEO対策)を強化することで、OTA以外の導線を拡張できます。

ステップ⑦:実装ロードマップと優先順位

フェーズ期間主な施策
第1段階1〜2ヶ月サイトUX改善/Google情報更新/簡易会員制度導入
第2段階3〜4ヶ月限定プラン設計/料金戦略リニューアル
第3段階5〜6ヶ月季節・地域連動キャンペーン展開
第4段階7〜12ヶ月リピーター育成・データ分析・広告最適化

まとめ:まずは“3つの小さな改善”から始めよう

1️⃣ Googleビジネスプロフィールを最新化(口コミ返信・写真更新)
2️⃣ 自社限定の小特典を設定(ドリンク・レイトチェックアウトなど)
3️⃣ 登録制の会員プログラムを立ち上げる

自社予約の拡大は短期戦ではなく、継続改善の積み重ねです。
OTAと競うのではなく、「新規顧客=OTA」「再訪=自社」という棲み分け戦略で、安定した直販モデルを築きましょう。

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