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OTA新規登録・既存施設の「再登録」で稼働率を上げるコツ

多くの旅館・ホテルが経験する共通の課題があります。

それは「Booking.com、Agoda、楽天トラベルなどのOTAに新規登録したはずなのに、登録直後は予約がほとんど入らない」という現象です。

同様に、既存施設でも「掲載順位が下がった」「表示回数が減った」といった問題から、一度OTAを削除して「再登録」することがありますが、この場合も「新規登録」と同じ状況に直面します。

初期段階では空室が埋まらず、結果として「OTAに登録した意味がない」と判断してしまう経営者が少なくありません。

しかし実は、OTAの新規登録・再登録後に稼働率を上げるための「仕組みと手順」が存在します。

本記事では、その具体的なコツを、実例とともに解説します。

なぜOTA新規登録直後は予約が入らないのか

理由①:アルゴリズム側の「新規施設の評価期間」

Booking.com、Agoda、楽天トラベルなどのOTAは、新規登録された施設に対して、最初の1~2ヶ月間は「評価期間」を設けています。この期間、新規施設はアルゴリズムの中で低い優先度に置かれやすい傾向があります。

理由は、OTA側も「ユーザー満足度」を重視しているため、実績がない新規施設よりも、既に多くのクチコミ・評価がある既存施設を優先的に表示する戦略を取っているからです。

理由②:クチコミ・レビューがゼロ

新規登録直後は、当然ながらクチコミやレビューがありません。

一方、競合施設は数十~数百件のポジティブなクチコミを持っています。

同じ検索条件の中では、クチコミが多い施設が優先的に表示される仕組みになっており、新規施設は検索結果の深い位置に埋もれてしまいます。

理由③:掲載順位アルゴリズムの理解不足

新規登録した経営者の多くは、基本情報(施設名、住所、客室情報)を入力しただけで満足してしまいます。

しかし、OTA各社のアルゴリズムは、以下の要素を複合的に評価しており、登録直後の施設はこれらの評価が「ゼロスタート」だからです。

・予約転換率(表示回数に占める予約数の割合)

・クチコミスコア(4.0以上が理想)

・クチコミの最新性(直近30日のレビュー数)

・ゲスト返信率(クチコミへの対応速度)

・キャンセル率

OTA新規登録直後の「初期空室埋め戦略」

戦略①:登録後1週間で「先出し割引」キャンペーン

OTA新規登録直後は、通常価格では予約が入りづらいため、「登録記念割引」として10~20%の割引を設定し、初期段階で予約を獲得することが重要です。

具体例:

・標準プラン:1泊12,000円 → 登録記念10%割引 → 10,800円

・期間限定:登録後1ヶ月間のみ適用

・条件:早期予約(14日前までのご予約で割引適用)

このアプローチにより、初期段階で予約数を確保し、OTAのアルゴリズムに「この施設は人気がある」というシグナルを送ることができます。

重要なポイント:割引幅が大きすぎ(30%以上)ると、その後の値上げが難しくなり、ブランド価値が低下するため、10~15%程度が適切です。

戦略②:写真・説明文を「OTA最適化」する

OTA新規登録時の写真品質が低いと、検索結果に表示された時点で「クリックされない」という問題が生じます。

OTA最適化のポイント:

・メイン写真(1枚目):施設の外観 + 夜間照明。ここで「いいな」と思わせることが必須

・2~3枚目:客室(ベッド、トイレ、浴室)の最高品質な写真

・4~5枚目:食事風景、温泉、共有スペース

・合計15~20枚:枚数が多いほどアルゴリズムでの表示優遇がある傾向

さらに、説明文は以下の構成が効果的です。

項目文字数
キャッチコピー(第一行)50字「〇〇県で最も新しい温泉旅館。地元食材の贅沢な夕食が評判」
施設の魅力(第二段落)150字「○年新築。最新の温泉浴場、和モダンの客室、ミシュラン認定シェフの料理」
アクセス・周辺情報100字「駅から送迎無料。観光地まで徒歩5分」
キャンセルポリシー明記「7日前までキャンセル料なし」

戦略③:登録直後の1ヶ月を「テスト期間」と位置づける

OTA新規登録後、予約が少ないのは「避けられない」ものと考え、この期間を「データ収集期間」として活用します。

具体的には:

・週1回、掲載順位・クリック数・クリック率を記録

・競合施設の順位・写真・価格を定期監視

・獲得した予約のゲスト属性(個人/家族/団体、季節)を分析

・クチコミが入った際の内容を精読

この分析により、2ヶ月目以降の改善施策が明確になります。

クチコミ・レビューを「意図的に」積み上げる方法

新規登録直後はクチコミがゼロのため、OTAアルゴリズム側で大きく不利になります。

ここが「初期空室の最大原因」です。対策は以下の通りです。

対策①:チェックアウト時の「レビュー依頼カード」配布

フロント業務に「チェックアウト時にレビュー依頼」を組み込みます。

・カードにQRコードを印刷し、すぐにレビュー投稿できる環境を作る

・「ご投稿いただいた方には、次回10%割引クーポンをメール送付」という条件を提示

・「できれば写真付きで」と優しく促す

目標:初回宿泊者の30~40%がレビューを投稿することで、1ヶ月で15~20件のクチコミが蓄積されます。

対策②:ゲスト返信の「24時間以内ルール」

クチコミが入った際、48時間以内(できれば24時間以内)に施設側から返信することで、OTA側のアルゴリズムで「宿泊施設が顧客に真摯に対応している」と評価されます。

返信内容のポイント:

・ゲストの具体的なコメントに対して、名前を出すなど個別対応

・感謝の気持ちを素直に表現 ・次回訪問時の「特別なおもてなし」を約束

例:「〇〇様へ 先日はご宿泊ありがとうございました。当館の朝食がお気に召していただき、大変嬉しく存じます。次回ご来館の際は、〇〇様向けの特別な地元食材をご用意させていただきたくお考えております。」

対策③:不正なレビュー誘導は避ける

インセンティブ(クーポン等)を提供する場合、「ポジティブなレビューのみ対象」という条件は、OTA側で規約違反と判定される可能性があるため、「どのようなご意見でも構いません」という中立的な姿勢が必須です。

OTA「再登録」の場合のコツ

既存施設がOTAから一度削除して「再登録」する場合、新規登録と異なる戦略が必要です。

再登録前の準備

削除前に以下の情報を記録しておきます。

・過去の掲載順位、クリック率、予約転換率

・ゲストからのクチコミ(スクリーンショット保存)

・競合施設の情報

再登録直後の施策

  1. 最初の1週間:レビュー一括移行(可能な場合) → 過去のポジティブなクチコミを新規リスティングに移行できるOTA(例:Booking.comのパートナーサポート)もあるため、確認。
  2. 2週間目:割引キャンペーン開始 → 新規登録と同様に10~15%割引を設定。
  3. 1ヶ月目:データ分析と改善 → 前回の掲載順位より下がっていないか、クリック率が回復しているか確認。
  4. 2ヶ月目以降:割引を段階的に終了 → 通常価格への回復を段階的に実施(毎週5%ずつ引き上げるなど)。

実例|Booking.com新規登録で3ヶ月間で稼働率が10%向上した旅館

静岡県の温泉旅館(16室)が、Booking.com新規登録後、初期空室を埋めた事例を紹介します。

導入前

  • 国内OTA(楽天・じゃらん)のみ運用
  • 月間予約:120件
  • 月間稼働率:65%
  • 海外ゲスト比率:0%

施策実施(登録後1ヶ月以内)

  1. 写真更新(1週間以内)
    • プロフォトグラファーに依頼し、15枚の高品質写真を撮影・アップロード
    • 料金:5万円
  2. 割引キャンペーン(登録直後)
    • 「Booking.com限定 新規登録記念15%割引」を1ヶ月間設定
    • 平均客室単価:12,000円 → 10,200円
  3. レビュー依頼カード配布(即時)
    • フロントスタッフ向けに「チェックアウト時レビュー依頼」マニュアルを作成
    • インセンティブ:レビュー投稿者全員に次回10%割引クーポン配布
  4. 24時間返信ルール(即時)
    • 毎日夜8時に「本日のクチコミ返信」を実施
    • 専任スタッフを配置

結果(3ヶ月後)

指標開始時3ヶ月後変化
Booking.com月間予約数0件22件▲22件
海外ゲスト比率0%15%▲15pt
全体月間予約数120件135件▲15件(+12.5%)
月間稼働率65%74%▲9pt
クチコミ数(Booking)0件18件▲18件
クチコミスコア(Booking)4.5
Booking掲載順位(平均)7位

経営面での効果

  • 割引率15% × 22件 × 12,000円 = 月間▲3,960,000円の減収(値引き分)
  • しかし新規顧客22件 × 平均客単価12,000円 = 264,000円の追加売上
  • 海外ゲスト比率15%獲得により、閑散期のカバー効果が期待
  • 初期投資(写真撮影5万円)は最初の月で回収

長期効果(6ヶ月以降)

  • クチコミが増加したため、割引を終了しても稼働率が73%で維持
  • Booking掲載順位が7位 → 3位に向上
  • 海外ゲストのリピーター化により、直予約へのシフトが開始

新規登録・再登録別のチェックリスト

OTA新規登録時チェックリスト(登録直後の2週間)

項目実施内容期日
基本情報施設名・住所・連絡先を正確に入力登録時
写真15~20枚の高品質写真をアップロード登録から3日以内
説明文キャッチコピー、施設説明、アクセスを入力登録から3日以内
料金設定新規割引10~15%を設定登録から1週間以内
キャンセルポリシー柔軟なポリシー(7日前まで無料等)を設定登録から1週間以内
アメニティ情報Wi-Fi、駐車場、食事、言語対応等を詳細に入力登録から1週間以内
レビュー依頼体制フロント業務にQRコード配布・レビュー依頼ルール構築登録から1週間以内
返信ルール24時間以内返信体制を確立登録から2週間以内

OTA「再登録」時チェックリスト(削除前~登録後)

タイミング項目内容
削除1ヶ月前過去データ保存掲載順位、クリック率、クチコミをスクリーンショット保存
削除時最終確認クチコミ数、平均スコア、最新レビュー日を記録
再登録直後写真・説明文更新前回から改善した写真・説明文で登録
再登録から1週間割引設定前回より5%高い割引率で設定(例:前回20% → 今回15%)
再登録から2週間クチコミ復帰確認OTA側でクチコミの移行が完了したか確認
再登録から1ヶ月データ比較前回の掲載順位、クリック率と比較して改善状況を確認

まとめ:新規登録・再登録は「投資期間」として位置づける

OTA新規登録・再登録直後の「初期空室埋め」は、単なる「営業効率の悪化」ではなく、OTAのアルゴリズムを理解した上での「戦略的投資期間」として位置づけることが重要です。

最初の1~2ヶ月間は、短期的には割引や初期投資で利益が圧迫されるかもしれません。

しかし、その期間に「クチコミの蓄積」「掲載順位の向上」「ゲスト満足度の確保」を実現できれば、中長期的には大きなリターンが期待できます。

株式会社AKSのOTA運用代行サービスでは、このOTA新規登録・再登録時の初期空室埋め戦略も含めて、総合的なサポートが可能です。

「登録直後で予約が入らない」「再登録を検討している」という施設様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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