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OTA売上を2倍にしたデータ分析アプローチ|AKSが使用する3つの分析視点

多くの小規模旅館・中堅ホテルは「OTAの売上を増やしたい」と言いながら、実際のデータを見ていません。

「最近予約が減った」

「ライバル宿に負けている気がする」

という感覚的な判断に頼り、高額な広告費を投じたり、無意味な値下げをしたりしています。

しかし、実際のOTA売上向上は「勘」ではなく「データ」で実現できます。

過去5年間で100件以上の宿泊施設をサポートする中で、OTA売上を1.5倍〜2倍に拡大させた施設の共通点は、シンプルで実行性の高い「3つの分析視点」を組織的に運用していることです。

本記事では、その3つの視点と具体的な実装方法を解説します。

第1の視点:「掲載順位×クリック率×予約率」の分解分析

OTA上での売上は、次の公式で表現できます。

OTA売上=掲載順位×クリック率×予約率×平均客室単価

この4つの要素のうち、どれが最も弱いかを特定することが、施策の優先順位を決める鍵です。

掲載順位の現状把握 

楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなど各OTAについて、月1回自施設が何位に表示されているかを記録します。

多くの施設は「なんとなく検索結果に出ている」程度の認識ですが、正確な順位把握は必須です。

順位が20位以下の場合、改善余地は大きいです。実例として、滋賀県の12室旅館は掲載順位が楽天で15位だったものを、3ヶ月で5位に引き上げたことで、月間クリック数が2倍になりました。

クリック率の測定

 掲載順位が決まっても、ユーザーがクリックしなければ売上にはつながりません。

クリック率は「表示回数に占めるクリック数の割合」で、OTA側の管理画面から確認できます。

業界平均は2〜5%ですが、以下の要素でクリック率が低下します。

・プランタイトルが競合と差別化されていない(「スタンダードプラン」は誰もクリックしない)

・メイン写真が古い、暗い、魅力的でない ・説明文が短すぎて何が提供されるか伝わらない

・評価スコアが3.5以下と低い

クリック率が3%未満の場合、上記のいずれかに問題がある可能性が高いです。

予約率(コンバージョン率)の改善 

クリックされても予約に至らなければ意味がありません。

予約率は「クリック数に占める予約数の割合」で、業界平均は5〜10%です。

予約率が低い理由は、通常、以下の3点に集約されます。

・料金が競合より高く見える(同じ内容でも150円高いだけで予約率は15%低下する)

・キャンセル料など細則が不明確で、ユーザーが不安になる

・予約フロー(客室選択→決済)が複雑で、離脱する

特に小規模旅館の場合、同じ立地・サービスの中堅ホテルと比べて5%〜10%、料金が高く設定されている傾向が見られます。

これは「小規模 = 割高」という心理的イメージが影響しています。

実際には、アメニティ充実や朝食の手作り感など、中堅ホテルより優れた点があるのに、それが適切に伝わっていないケースが大半です。

第2の視点:「セグメント別売上分析」による施策の個別最適化

全体の売上データだけを見ていると、真の課題は見えません。

重要なのは「どの層からの予約が減り、どの層から増えているか」の把握です。

セグメント分類の4軸 

・ゲストの属性:個人、家族、団体、カップル

・予約タイプ:朝食付き、食事なし、素泊まり、連泊

・季節:ピーク(GW・夏・紅葉・冬休み)、閑散期(平日・梅雨)

・流入チャネル:楽天トラベル、じゃらん、Booking.com、自社サイト

各セグメントについて、月間予約数、平均客室単価、キャンセル率を整理します。

すると、例えば以下のような傾向が見えます。

具体例 

長野県の20室旅館の場合、過去6ヶ月のデータから以下が判明しました。

・楽天トラベル経由の個人客:月15件→月8件(-47%):危機的

・じゃらん経由のカップル向けプラン:月12件→月18件(+50%):好調

・Booking.com経由の欧米客:月3件→月5件(+67%):成長中

この分析により、「全体の売上は横ばいだが、実は楽天の個人客が大幅に減少していた」という真の課題が浮かび上がります。

その結果、施策は「楽天の個人客向けプランの見直し+新しい高画質写真の追加」に集中され、3ヶ月で楽天経由の予約が月8件→月14件に回復しました。

第3の視点:「競合ベンチマーク分析」による価格・サービス戦略

自施設のデータだけを見ても、改善方向は不明確です。

重要なのは「競合と比べて自分たちは何が強く、何が弱いか」の相対的評価です。

競合選定の3ポイント

 ・同じ立地・観光地にある

・同じ規模(室数)

・価格帯 ・同じターゲット層

例えば、箱根の温泉旅館であれば、半径2km以内で同じ15〜25室、1泊2食で10,000〜15,000円の施設を3〜5施設選びます。

ベンチマーク項目(月1回確認)

項目自施設競合A競合B競合C
楽天掲載順位8位4位2位12位
楽天クリック率3.2%4.1%3.8%2.1%
楽天予約率6.8%7.2%9.1%5.3%
基本料金(1泊2食)¥13,000¥12,500¥11,500¥13,500
高評価率(4.0以上)78%82%91%64%
月間楽天予約数35件42件58件28件

このデータから、「競合Bは料金が1,500円安いにもかかわらず予約率が高く、評価も高い」という事実が明らかになります。

原因を探ると「写真が最新(1ヶ月前撮影)」「夜間照明が美しい」「クチコミ返信が丁寧」という差異が見つかります。

3つの分析結果をもとにした「施策の優先順位付け」

上記3つの分析を統合すると、施策の優先順位が明確になります。

優先度1:掲載順位が20位以下の場合 → まず「クチコミ対応」と「基本情報の最新化」に注力。ROI最高。2〜4週間で効果出現。

優先度2:掲載順位は5位以内だが予約率が5%未満の場合 → 「料金調整」または「プラン説明文の改善」が効果的。1〜2週間で反応。

優先度3:セグメント別では特定層の減少が著しい場合 → その層向けの「プラン新設」または「ターゲット切り替え」を検討。

優先度4:競合比較で評価が著しく低い場合 → 「写真撮影・更新」と「サービス強化」を同時実施。3ヶ月程度で評価上昇。

実装の具体ステップ

Week 1-2:データ収集・整理

  • 各OTAの管理画面から過去3ヶ月の数字を抽出
  • Excelシートに整理(掲載順位、クリック数、予約数、客室単価)
  • 競合3社のプラン・料金・評価を手動調査

Week 3-4:分析と課題特定

  • 3つの視点で弱点を列挙
  • 最大の課題(ROI高、実行容易)を特定
  • 改善施策の優先順位付け

Month 2-3:施策実行

  • クチコミ対応、写真更新、プラン改訂など
  • 週1回、定性的な進捗確認
  • 予期しない問題があれば軌道修正

Month 4以降:効果測定

  • 月間で掲載順位、クリック率、予約率、売上を比較
  • 前年同月比で20%以上の改善を目標
  • 良い施策は継続、悪い施策は即中止

実例:データ分析アプローチで売上が2倍になった旅館

静岡県伊豆の温泉旅館(18室、年商2億5,000万円)が、この分析アプローチを導入した結果を紹介します。

導入前

  • 楽天掲載順位:平均12位
  • 月間楽天予約:25件
  • 平均客室単価:10,000円
  • 月間OTA売上:250万円

分析結果

  • 掲載順位は12位と悪くないが、クリック率が2.1%(業界平均3%より低い)
  • 予約率は5.2%(平均6.5%より低い)
  • 競合比較では、写真が3年前で、プラン説明文が「スタンダード」「デラックス」と区別不明確

実施施策(2ヶ月間)

  1. プロ写真家による新撮影(施設、露天風呂、食事、夜間ライトアップ)
  2. プラン名を「温泉で夕涼み+地元食材の和食」など具体的に変更
  3. クチコミ返信を48時間以内に全件対応開始

導入後(3ヶ月後)

  • 掲載順位:12位→5位
  • クリック率:2.1%→3.8%
  • 予約率:5.2%→7.1%
  • 月間楽天予約:25件→50件(+100%)
  • 平均客室単価:10,000円→10,800円(軽微な値上げ)
  • 月間OTA売上:250万円→540万円(+116%)
  • 年間で約3,480万円の売上増加(コスト差引後、年間1,200万円の純増)

まとめ:データ分析は「勘」より確実

OTA売上の向上は、秘密の施策や高額な広告費ではなく、「シンプルなデータ分析」と「地道な改善」の積み重ねで実現できます。100件以上の事例から学んだのは、この3つの視点を月1回、継続的に回し続ける施設が、確実に売上を伸ばしているという事実です。

もし「データはあるが、分析方法がわからない」「改善施策の優先順位が不明」という課題があれば、OTA運用代行サービスでお手伝いできます。

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