サイトコントローラーの画面を毎日眺めていれば、「今月は稼働率が良い」ということはすぐに分かります。売れているかどうかが一目で分かるのは、大きな安心材料です。ところが、その安心感の裏で、経営として本当に大事な数字を見落としていないでしょうか。
「稼働率は先月より明らかに良かったのに、なぜか手元に残るお金は増えていない」
「忙しかった実感はあるのに、通帳の残高がそれほど変わらない」
「連休はほぼ満室だったはずなのに、期待したほど利益が出ていない」
「去年の同じ時期と比べて、良かったのか悪かったのか判断できない」
こうした違和感を一つひとつ確認していくと、行き着く先はたいてい同じです。
こうした違和感の正体は、多くの場合、稼働率という数字だけを見て、単価の変化を見ていないことにあります。稼働率が高くても、単価が下がっていれば、収益は思ったほど伸びません。
本記事では、稼働率だけでは経営状態が分からない理由を整理したうえで、単価まで含めて把握する方法を解説します。
忙しさの実感と、実際に手元に残る利益は、必ずしも一致しないものです。
サイトコントローラーが教えるのは「売れたか」まで
稼働率は、結果としての数字
サイトコントローラーの画面に表示される稼働率は、「何室のうち何室が売れたか」という結果です。これはこれで重要な数字ですが、いくらで売れたかという情報は含まれていません。極端な話、全室が半額で売れても、稼働率だけを見れば「好調」に見えてしまいます。
稼働率100%という数字は、経営者にとって心理的にとても気持ちの良いものです。だからこそ、その裏側にある単価の動きにまで、目が向きにくくなります。
サイトコントローラーが表示するのは、あくまで在庫の状況です。何室売れたか、あと何室残っているかという情報は、在庫を正しく連携するために必要なものであって、経営の健全性を判断するために設計された画面ではありません。稼働率を経営判断の材料として使うこと自体は間違いではありませんが、それ単体で「うまくいっている」と結論づけるのは早計です。
単価と組み合わせて、初めて経営状態が見える
稼働率と単価は、片方だけを見ていると判断を誤りやすい、対になる指標です。稼働率を上げるために単価を下げれば、当然ながら1室あたりの利益は薄くなります。逆に単価を守れば、稼働率は多少下がっても、全体の収益は保てることがあります。この関係を理解しないまま稼働率だけを追いかけると、忙しいのに儲からないという状態から抜け出せません。
単価を見ないと、何が起きるか
値引きで稼働率を上げて、満足してしまう
閑散期に部屋が埋まらないとき、多くの施設がまず検討するのが値引きです。値引きをすれば、たしかに稼働率は上がります。ここで稼働率という結果だけを見て「対策が成功した」と判断してしまうと、実際には利益率を犠牲にしていたことに気づけません。
翌月以降も同じ値引きを続けてしまい、気づいたときには「稼働率は高いが利益は薄い」という状態が定着している、というのはよくあるパターンです。一度下げた単価を元に戻すのは、上げる以上に心理的な抵抗が伴います。お客様からの反応を恐れて、値引き前の水準に戻すタイミングを逃し続ける施設も少なくありません。
本来であれば、値引きは「稼働率を上げるための手段」であって「目的」ではないはずです。ところが、稼働率という結果だけを追いかけていると、いつの間にか手段と目的が入れ替わってしまいます。
どの予約サイトが実際に貢献しているか分からない
複数の予約サイトを併用している場合、サイトごとに手数料率や、集まりやすい客層、単価の傾向が異なります。予約件数だけを見ていると、件数は多いが手数料や値引きを差し引くと実はあまり儲かっていないサイトを、優良な販売チャネルだと誤解してしまうことがあります。
この誤解に気づかないまま、件数の多いサイトへの出稿をさらに強化すると、労力をかけた割に利益が伸びないという結果を招きます。限られた広告予算や人手を、どの販売チャネルに重点的に振り向けるべきかを判断するには、件数ではなく実際の収益で比較する必要があります。感覚だけで配分を決めている限り、この判断は毎回ぶれ続けることになります。
売上分析でまとめて把握する方法
期間を選ぶだけで、4つの指標が一度に見える
AKSの予約管理ダッシュボードでは、期間を選択するだけで、売上・平均客室単価(ADR)・稼働率・1室あたり売上(RevPAR)の4つをまとめて表示できます。ADRは1室あたりの平均単価、RevPARは稼働率と単価の両方を反映した「販売可能な部屋1室あたりが実際に生んだ売上」を示す指標です。この4つを並べて見ることで、稼働率だけでは見えなかった経営状態が明らかになります。
たとえば稼働率が前月より上がっているのにRevPARが下がっていれば、それは値引きによって稼働率を押し上げていたことを示すサインです。逆に稼働率が横ばいでもRevPARが上がっていれば、単価戦略がうまくいっている証拠になります。
RevPARという1つの指標に、稼働率と単価の両方の動きが織り込まれているため、月ごとの数字を並べるだけで、経営の方向性が正しいかどうかを継続的に確認できます。毎月の数字を並べて折れ線で見るようにしておけば、良い月と悪い月の違いも直感的に把握できるようになります。
予約サイト別・月別・曜日別の内訳も見られる
売上は、予約サイト別、月別、曜日別、人数別、部屋タイプ別に分解して見ることもできます。どの予約サイトの単価が高いか、どの曜日に単価が落ちやすいか、といった傾向が具体的に見えるようになります。感覚で「たぶんこの曜日が弱い」と思っていたことが、数字で裏づけられたり、逆に思い込みだったと分かったりします。
部屋タイプ別の内訳も、見逃せない情報です。上位の部屋タイプが値引きなしで売れているのか、それとも値引きでようやく動いているのかによって、次に取るべき施策はまったく変わります。人数別の内訳を見れば、家族連れとビジネス利用のどちらの割合が増えているかも分かり、今後の設備投資や部屋タイプの構成を考える材料にもなります。
| 見ている数字 | 稼働率だけ | ADR・RevPARも含める |
|---|---|---|
| 閑散期の値引き対策 | 「埋まったから成功」と判断しがち | 利益が減っていないか検証できる |
| 予約サイトの評価 | 件数の多さで判断しがち | 実際の単価・貢献度で判断できる |
| 曜日ごとの傾向 | 感覚頼み | 数字で裏づけられる |
導入で、今の予約管理は変わらない
この仕組みは、PMSを新しく入れるものではありません。ご利用中のサイトコントローラーや予約サイトの設定はそのままに、予約データを読み取って売上分析に反映します。予約サイト側への書き込みは行わないため、在庫や料金の連携には影響しません。
IDとパスワードでログインするだけで使え、施設のパソコンにソフトを入れる必要もありません。料金は初期導入5万円(税抜)、月額9,800円(税抜)から。AKSのホテルサポートをご契約中の施設さまは月額無料です。
特に効果を感じやすい施設
複数の予約サイトを併用し、季節や曜日によって単価を変えている施設ほど、効果を感じやすいはずです。逆に単価をほぼ固定して運用している施設では、優先度はやや下がりますが、それでも予約サイトごとの実質的な貢献度を把握する価値は残ります。
特に、繁忙期と閑散期で稼働率の差が大きい施設は、単価戦略の見直しによる伸びしろも大きい傾向にあります。閑散期に値引き以外の選択肢を検討する際にも、まず自施設の単価の動きを正しく把握しておくことが出発点になります。現状の数字を知らないままでは、どの施策が効いたのかも判断できません。
売上分析の見方を棚卸しするチェックリスト
導入を検討する前に、まず自施設が今どこまで数字を把握できているか確認してみてください。
- 稼働率だけでなく、ADR(平均客室単価)を毎月確認しているか
- 値引きをした月に、稼働率だけでなく利益がどう変わったかを検証しているか
- 予約サイトごとの実質的な単価や手取り額を比較したことがあるか
この3つのうち答えられないものがあれば、稼働率という結果だけを見て、経営判断をしている可能性があります。数字を分解して見る習慣を持つことが、経営を立て直す最初の一歩になります。
もう1つ、確認しておきたいことがあります。こうした数字を、月に一度でも決まったタイミングで見返す習慣があるかどうかです。数字自体は取得できていても、見返す機会がなければ、経営判断には活かされません。取得と活用は別の話だということを、忘れないようにしてください。
まとめ
サイトコントローラーが教えてくれるのは「売れたかどうか」までで、いくらで売れたか、実際にいくら残ったかは別途見る必要があります。稼働率だけを追いかけていると、値引きによる見かけ上の好調を成功と誤解しやすくなります。
ADR・RevPARを含めて把握すれば、忙しさと利益のズレに早く気づけます。今のシステムを変える必要はありません。
稼働率は良いのに利益が伸びないと感じている施設さまへ
株式会社AKSは、宿泊施設の現場業務を効率化する「予約管理ダッシュボード」を提供しています。今お使いの予約サイトやサイトコントローラーはそのまま、経営に必要な数字をまとめて見える化する仕組みです。
機能の詳細は予約管理ダッシュボードのページでご確認いただけます。初期導入5万円(税抜)・月額9,800円(税抜)から始められ、AKSホテルサポート契約中の施設さまは月額無料です。
「今のシステムを変えずに、単価の動きまで把握できるのか知りたい」という段階でも構いません。現状の運用をお聞きしたうえで、無理のない範囲からご提案します。


