サイトコントローラーを導入してから、複数の予約サイトで同じ部屋を二重に売ってしまう心配はなくなった。そう感じている施設は多いはずです。ところが、それとは別の場所で、似たようなトラブルが今も起きていないでしょうか。
「103号室に、2組のお客様を割り当ててしまっていた」
「チェックイン直前に気づいて、あわてて部屋を調整した」
「表は更新していたはずなのに、なぜか反映されていなかった」
これは在庫のオーバーブッキングとは別の問題です。サイトコントローラーが守っているのは「部屋タイプ単位の在庫」であり、「どの部屋番号に誰を入れるか」までは管理していません。
本記事では、この2つの重複がなぜ別問題なのかを整理したうえで、部屋番号レベルの重複に気づく仕組みを解説します。
サイトコントローラーが防ぐのは「在庫」の重複まで
在庫レベルのオーバーブッキング防止とは
サイトコントローラーは、ある部屋タイプが1室売れたら、他の予約サイトに出している同じ部屋タイプの在庫を自動で減らします。これにより、複数の予約サイトから同じ部屋タイプが定員以上に売れてしまう事態を防いでいます。これは「部屋タイプ」という単位での話です。
たとえば「スタンダードツイン」が5室あるとして、その5室分の在庫を正しく連携することがサイトコントローラーの仕事です。5室のうちどれが101号室で、どれが102号室かという、部屋番号への割り振りは対象に含まれていません。
この違いは、オーバーブッキングという言葉が指す範囲を考えると分かりやすくなります。オーバーブッキングとは「売れる数を超えて予約を受けてしまうこと」で、これは部屋タイプの合計数を基準に判断されます。一方、同じ部屋番号に2組の予約が重なるのは、合計数の範囲内でも起こり得る、まったく別の種類のミスです。この2つを同じ問題として扱ってしまうと、サイトコントローラーを導入したのだから部屋割の心配もなくなったはずだ、という誤解につながります。
部屋番号レベルの重複はなぜ起きるか
部屋タイプの在庫が正しく連携されていても、実際にどの部屋番号に誰を入れるかは、多くの施設で手作業のまま残っています。手書きの台帳やExcelの部屋割表に、予約が入るたびに担当者が書き込んでいく運用です。
この作業は、予約件数が少ないうちは問題になりません。ただし、予約が集中する日や、担当者が複数人いる状況では、同じ部屋番号に別々の担当者がそれぞれ予約を書き込んでしまうことが起こります。表を見比べれば分かるはずのミスですが、忙しい現場では見比べる時間そのものが取れません。
Excelで管理している場合、複数人が同時に編集すると上書き保存で他の人の変更が消えてしまうこともあります。誰かが確認した数分後には、別の誰かが古い状態のファイルを開いて書き込んでいた、ということも珍しくありません。紙の台帳であれば、そもそも同時に2人が書き込むこと自体を防げず、二重登録のリスクは常に残り続けます。
部屋割で、実際に何が起きているか
同じ部屋に2組が重なる典型的なパターン
典型的なのは、当日の朝に部屋の空き状況を見て空いていそうな部屋に予約を割り当てたところ、実は数日前に別の担当者がすでに同じ部屋を別の予約に割り当てていた、というケースです。表の更新が追いついていなかったり、更新後の表を全員が見ていなかったりすることが原因です。
もう1つ多いのが、清掃や修繕でその部屋を一時的に使えなくしていたことを忘れ、通常どおり予約を入れてしまうケースです。部屋の状態と部屋割の情報が、別々の場所で管理されていると起こりやすくなります。連絡すべき相手に伝わっていなかった、というだけの単純な理由で起きることも少なくありません。
気づくタイミングが、当日になりがちな理由
重複に気づくのは、たいていチェックイン直前です。表を毎日隅々まで見直す時間がある施設は少なく、実際に部屋の準備をする段階になって初めて「あれ、この部屋は2組分になっている」と発覚します。この時点で気づいても、選べる対応は限られています。
空いている別の部屋に振り替えられればまだよいのですが、満室に近い日であれば、お客様にお部屋タイプの変更をお願いすることになりかねません。現場の負担だけでなく、お客様への説明という気まずい対応も発生します。
この一連の対応には、フロントの時間だけでなく、清掃のスケジュールにも影響します。急きょ別の部屋を用意するとなれば、その部屋の清掃を前倒しする必要が出てきます。1つの重複が、フロントと清掃の両方に連鎖して負担をかけるということです。
忙しい時期ほど起きやすく、しかも忙しい時期ほど対応の余裕がないという、悪いタイミングが重なりやすい問題でもあります。
部屋番号の重複を、自動で知らせる仕組み
日付と部屋を表形式で確認できる
AKSの予約管理ダッシュボードには、日付と部屋を軸にした一覧表があります。今までExcelや手書きで作っていた部屋割表と同じ見え方で、どの部屋がいつ埋まっているかを確認できます。使い慣れた表の形をそのまま画面上で扱えるイメージです。
予約サイトの予約には、自動で部屋が割り当たる
予約サイト経由で入った予約は、自動で部屋に割り当てられます。手作業で1件ずつ表に書き込む作業自体が減るため、書き込みミスが発生する機会そのものが少なくなります。表の上で部屋を入れ替えることも可能なので、当日の事情に合わせた調整にも対応できます。
自動での割当は、あくまで作業の手間を減らすためのものであり、最終的な調整を人が行える余地は残されています。清掃の都合や、常連のお客様のご希望など、システムだけでは判断できない事情に合わせて、表の上で自由に組み替えられます。
同じ部屋が重なったら、赤枠で知らせる
万が一、同じ部屋に2件の予約が重なった場合は、表の上でその部分が赤枠で表示されます。担当者が意識して見比べなくても、画面を開いた時点で目に入るようになっています。「気づいたのがチェックイン当日だった」という事態そのものを避けられます。
重要なのは、重複が起きた瞬間ではなく、重複したままの状態が何日も気づかれずに残ることです。赤枠での表示は、予約が入るたびに反映されるため、重複が発生してから数日以内に気づける可能性が高くなります。数日の余裕があれば、別の部屋への調整も、お客様への事前の連絡も、落ち着いて行えます。
| 状態 | 手作業の部屋割表 | 予約管理ダッシュボード |
|---|---|---|
| 予約サイト経由の割当 | 手入力 | 自動 |
| 重複の発見 | 見比べて気づく | 赤枠で自動表示 |
| 気づくタイミング | 当日になりがち | 入力時点で分かる |
導入で、今の在庫連携は変わらない
この仕組みは、PMSを新しく入れるものではありません。ご利用中のサイトコントローラーや予約サイトの設定はそのままに、予約データを読み取って部屋割の表に反映します。予約サイト側への書き込みは行わないため、在庫や料金の連携部分に影響することはありません。
IDとパスワードでログインするだけで使え、施設のパソコンにソフトを入れる必要もありません。部屋の登録などの最初の設定はAKSが施設ごとに合わせて行います。料金は初期導入5万円(税抜)、月額9,800円(税抜)から。AKSのホテルサポートをご契約中の施設さまは月額無料です。
特に効果を感じやすい施設
部屋割を複数人で担当している施設、部屋タイプごとの部屋数が多く表が複雑になっている施設は、特に効果を感じやすいはずです。担当者が1人で、その人がすべての部屋の状況を頭に入れられている施設では、優先度はやや下がりますが、その1人が休んだ日のリスクは残ります。客室数が増えるほど、表の複雑さも比例して増えていく点にも注意が必要です。
部屋割の重複リスクを棚卸しするチェックリスト
導入を検討する前に、まず自施設の部屋割の運用を確認してみてください。
- 部屋割の表は、何人がどこで更新しているか(Excel・手書き・台帳など)
- 過去1年で、同じ部屋への重複割当に気づいたことは何回あったか
- 清掃中・修繕中で使えない部屋の情報は、部屋割の表にすぐ反映されているか
過去に重複が1度でもあった施設は、今後も同じ運用を続ける限り、再発する可能性が残っています。表を見比べる担当者の注意力に頼る運用から、重複そのものが表示される仕組みに変えることが、根本的な対策になります。
幸い重複に気づいたことがなくても、それは仕組みで防げているからとは限りません。単に運が良かっただけ、というケースも少なくないため、一度も経験がない施設ほど、実際の運用を見直しておく価値があります。
まとめ
サイトコントローラーが防いでいるのは部屋タイプ単位の在庫の重複で、実際の部屋番号への割当は別の問題として残ります。手作業の部屋割表では、担当者が複数人になるほど重複に気づきにくくなり、発覚するのはチェックイン直前になりがちです。
予約サイトの予約を自動で割り当て、重複が起きたら赤枠で知らせる仕組みにしておけば、チェックイン当日の慌ただしい部屋調整を減らせます。今のシステムを変える必要はありません。
部屋割の重複ヒヤリハットに心当たりがある施設さまへ
株式会社AKSは、宿泊施設の現場業務を効率化する「予約管理ダッシュボード」を提供しています。今お使いの予約サイトやサイトコントローラーはそのまま、現場の作業だけを楽にする仕組みです。
機能の詳細は予約管理ダッシュボードのページでご確認いただけます。初期導入5万円(税抜)・月額9,800円(税抜)から始められ、AKSホテルサポート契約中の施設さまは月額無料です。
「今のシステムを変えずに、部屋割の重複だけ防げるのか知りたい」という段階でも構いません。現状の運用をお聞きしたうえで、無理のない範囲からご提案します。


