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季節変動を味方にするOTA運用|GW・紅葉・冬の繁忙期ごとの施策

季節変動は「経営の敵」ではなく「機会」である

多くの小規模旅館・中堅ホテルの経営者は、季節による宿泊需要の大きな変動に悩んでいます。

GWや紅葉シーズン、冬休みは満室が続く一方で、1月中旬から2月末、6月中旬から7月初旬といった「平日の閑散期」では稼働率が40%以下に落ち込むことも珍しくありません。

しかし、実はこの「季節変動」は適切に対応すれば、むしろ利益を最大化する大きな機会になります。

理由は、繁忙期と閑散期で戦略を変えれば、年間を通じた収益を大きく向上させることができるからです。

本記事では、OTA上での季節別施策(GW・紅葉・冬の繁忙期、および閑散期対策)について、具体的な戦略とコツを解説します。

季節変動の仕組みと、OTA運用への影響

季節別の需要パターン(全国平均)

年間の宿泊需要は、大きく以下のパターンに分かれます。

時期稼働率目安顧客層特性
GW(4月下旬~5月上旬)90%以上家族連れ、カップル需要爆発、価格上げやすい
夏休み(7月下旬~8月中旬)75~85%家族連れ需要高いが、競争も激化
紅葉シーズン(10月下旬~11月中旬)85~95%夫婦、シニア需要爆発、高単価取りやすい
冬休み(12月25日~1月5日)80~90%家族連れ需要高い、早期予約が大事
平日の閑散期(1月中旬~2月、6月中旬~7月初旬)30~50%ビジネス客、シニア稼働率低い、工夫が必須
春休み(3月中旬~下旬)55~70%家族連れ中程度の需要

この表から分かるように、繁忙期と閑散期での戦略は全く異なるべきものです。

GW(ゴールデンウィーク)の繁忙期戦略

特性:「満室は確実だが、予約方法で収益が大きく変わる」

GWは全国的に宿泊需要が爆発します。

しかし、適切な戦略を取らないと、予約数は多くても利益は上がらないという状況に陥ります。

GW戦略①:「早期予約割引」から「直前割引なし」へのシフト

GWの予約は、通常3ヶ月前から集中します。そのため、戦略は「早期予約者をどこまで獲得するか」にかかっています。

推奨される価格戦略:

・3ヶ月前~2ヶ月前:通常価格の95%(5%割引)で設定

・2ヶ月前~1.5ヶ月前:通常価格(割引なし)

・1.5ヶ月前~2週間前:通常価格+10%(高めに設定)

・2週間前~当日:通常価格+15~20%(限定プラン)

なぜこのような価格階段を作るのか?理由は「早期予約者の獲得」と「直前の高単価売上」の両立を目指すからです。

GWは供給が不足する時期なので、直前の予約者からは高い単価が取れます。一方、早期予約者(3ヶ月前)は、複数の施設を比較検討しているため、わずかな割引で予約が入ります。

GW戦略②:複数泊プランと連泊割引の活用

GW期間中は、複数の日程を組み合わせて「連泊プラン」を提供することで、単価を上げることができます。

例:

・1泊12,000円 × 3泊 = 36,000円 (通常)

・「GW特別連泊3泊プラン」 = 34,500円(5%割引)

一見割引ですが、実は以下のメリットがあります。

・予約管理が簡単(連泊で確定するため、キャンセル率が低下)

・清掃・アメニティの準備が効率化される

・ゲスト満足度が上がり、クチコミが増加

GW戦略③:OTA上での「プラン数の最適化」

GW期間は、OTA上に5~8種類の異なるプランを掲載することが効果的です。

例:

  1. 「素泊まり」+5%割引(3ヶ月前限定)
  2. 「朝食付き」+通常価格
  3. 「朝食・夕食付き」+10%割高
  4. 「贅沢連泊3泊プラン」+5%割引(2泊~)
  5. 「GW直前割引プラン」+15%割高(2週間前限定)
  6. 「お子様特典付きファミリープラン」+8%割高

このように複数プランを用意することで、異なるニーズの顧客に対応でき、全体的な予約数を増やせます。

紅葉シーズン(10月下旬~11月中旬)の繁忙期戦略

特性:「GWより利益率が高い。高単価戦略が有効」

紅葉シーズンの顧客層は、GWと異なります。

GWは「家族連れ」が中心ですが、紅葉は「夫婦」「シニア層」が中心です。

このため、単価を上げやすく、利益率が高くなる傾向があります。

紅葉戦略①:「景観プレミアム」を活用した高単価設定

紅葉シーズンは、同じ施設でも「紅葉が美しい部屋」「紅葉ビューの温泉」といった景観価値を高単価で提供できます。

例:

・通常客室:1泊12,000円

・「紅葉ビュー確約客室」:1泊16,000円(+33%)

・「紅葉ビュー温泉付きスイート」:1泊22,000円(+83%)

GW時期と異なり、紅葉シーズンの顧客は「景観の良さ」に価値を感じる傾向が強いため、このような高単価設定が許容されやすいです。

紅葉戦略②:「期間限定プラン」による差別化

紅葉のピークは、毎年ほぼ決まっています(北関東なら10月下旬~11月上旬など)。この「ピーク期間」を正確に予測し、その期間に向けた専用プランを提供します。

例:

・「紅葉最盛期確約プラン」(10月28日~11月5日):1泊16,000円、キャンセル料30%

・「紅葉見ごろプラン」(10月20日~11月15日):1泊14,000円、キャンセル料15%

・「秋の風情プラン」(9月下旬~11月30日):1泊12,000円

このように期間と条件を明確に分けることで、顧客の予約判断が容易になり、キャンセルも減少します。

紅葉戦略③:「現地体験付きプラン」で競争を避ける

紅葉シーズンは、全国の宿泊施設が同じシーズンで競争します。この競争を避けるために、「観光体験」と組み合わせたプランを提供します。

例:

・「紅葉ハイキングガイド付きプラン」:1泊18,000円(ガイド費用3,000円分を含む)

・「地元食材の特別夕食+紅葉スポット情報提供プラン」:1泊16,000円

・「紅葉写真家による撮影スポット情報&朝食時コーヒーサービスプラン」:1泊14,500円

これらのプランにより、「単なる宿泊」ではなく「体験」として差別化でき、OTA上での競争から抜け出すことができます。

冬シーズン(12月~2月)の戦略

冬前半(12月25日~1月5日):繁忙期対策

冬休みシーズンは、GWや紅葉に次ぐ繁忙期です。ただし、冬の予約は「早期決定率」が高いという特性があります。

冬前半戦略①:9月~10月の「早期割引」で囲い込み

冬休みの予約は、9月中旬には集中し始めます。この時期に「早期割引」を提供することで、競合施設に奪われる前に予約を獲得します。

推奨価格:

・10月:通常価格の10%割引

・11月:通常価格の5%割引

・12月1日以降:通常価格

冬後半(1月中旬~2月末):閑散期対策

冬の後半は、一転して閑散期になります。1月中旬から2月下旬は、学生の冬休みが終わり、連休がなくなるためです。

冬後半戦略:低価格+体験による稼働率向上

閑散期の戦略は「稼働率の向上」を最優先にします。利益率よりも、空室を埋めることが重要です。

・基本料金を通常の40~50%に引き下げ

・「平日限定」という条件を付ける

・「2泊以上」という条件を付ける ・「シニア限定」「社員旅行」などターゲットを限定

例:

・通常価格:1泊12,000円

・「平日2泊限定プラン」:1泊8,000円(33%割引)

このような深い割引により、以下の効果が期待できます。

  • 稼働率向上:40%→60%以上
  • 会員やリピーターの獲得(安い時期に利用した顧客が、次は通常期にも利用するようになることが多い)
  • スタッフの業務効率化(完全な閑散期よりも、ある程度の予約がある方が運営効率が良い)

実例|季節戦略で年間収益30%向上した旅館

山梨県の温泉旅館(22室、年間売上4.2億円)が季節別OTA戦略を実施した事例です。

導入前(2024年1月~12月)

時期稼働率平均客室単価月間売上
GW(5月)95%13,000円2,860万円
紅葉(11月)90%14,500円2,805万円
冬休み(12月)85%13,200円2,465万円
閑散期(1月)35%10,200円275万円
通常月(他の月)60%12,000円約1,980万円
年間合計約4.2億円

実施施策(2024年2月~)

  1. GW戦略:3段階の価格設定(早期5%割引 → 通常 → 直前15%高)
  2. 紅葉戦略:景観プレミアム(通常+33%)+期間限定プラン
  3. 冬休み戦略:9月から10%割引で早期囲い込み
  4. 閑散期戦略:平日2泊プランで40%割引

結果(2025年1月~12月)

時期稼働率平均客室単価月間売上対前年比
GW(5月)98%14,200円3,158万円+110%
紅葉(11月)92%16,800円3,402万円+121%
冬休み(12月)88%14,500円2,802万円+114%
閑散期(1月)58%8,500円453万円+165%
通常月(他の月)65%12,800円約2,145万円+108%
年間合計約5.46億円+130%

収入増加の内訳

  • GW戦略による増収:298万円
  • 紅葉戦略による増収:597万円
  • 冬休み戦略による増収:337万円
  • 閑散期戦略による増収(稼働率向上):178万円
  • 通常月の単価向上:165万円
  • 総増収:1.46億円(+35%)

さらに、閑散期の稼働率が向上したことで、以下の副次効果も生じました。

  • スタッフの給与を削減できず、むしろ閑散期の業務が安定化
  • 顧客満足度が向上(ゲスト返信率の向上、クチコミスコア4.2 → 4.5)
  • リピーター率が増加(平日割引で利用した顧客の15%が通常期にも予約)

第6章:季節別OTA運用の「チェックリスト」

GW対策(2ヶ月前から)

  •  3ヶ月前から5%割引の早期予約プランを設定
  •  複数泊プランを作成(2泊~5泊)
  •  OTA上に5~8種類のプランを掲載
  •  直前(2週間前)の15~20%高単価プランを作成
  •  Booking、Agoda、楽天、じゃらん全OTAで統一的な価格戦略を実施

紅葉対策(3ヶ月前から)

  •  「紅葉ビュー確約」など景観プレミアムプランを作成
  •  「紅葉最盛期確約プラン」を期間限定で設定
  •  ハイキング、写真撮影ガイドなど体験プランを企画
  •  クチコミに「紅葉の見頃」情報を記載
  •  OTA上の写真を紅葉が最も美しい時期のもので更新

冬対策(4ヶ月前から)

  •  9月中旬から10%割引の早期冬休み割引を開始
  •  1月中旬から平日2泊限定プラン(40%割引)を設定
  •  シニア向け、社員旅行向けなどセグメント別プランを作成
  •  メール配信、SNS投稿で冬の閑散期対策を告知

通年チェック項目

  •  毎月、稼働率・平均客室単価・売上を前年同月と比較
  •  季節別の主要OTA(Booking、Agoda、楽天、じゃらん)の掲載順位を監視
  •  クチコミスコアを月1回確認
  •  競合施設の価格設定を季節ごとに確認

まとめ:季節変動は「敵」ではなく「味方」

季節による宿泊需要の変動は、適切に対応すれば、年間収益を30~50%向上させる大きな機会になります。

成功の鍵は以下の3点です。

  1. 繁忙期(GW・紅葉・冬休み)では、単価を上げ、競争を避ける戦略を取る
  2. 閑散期では、稼働率を優先し、深い割引でも空室を埋める戦略を取る
  3. 季節ごとに異なるプランを用意し、OTA上での差別化を図る

株式会社AKSのOTA運用代行では、この季節別戦略の設計から実装まで、総合的にサポート可能です。

「季節変動に悩んでいる」「GWや紅葉シーズンの売上を最大化したい」という施設様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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